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Creative Café Vol.04 音楽療法とはどういうものか 2/2pict

2010.02.27

チン・ワン Chen Wan
北京連合大学特殊教育学院、兼中国音楽治療学会理事。ハルビン師範大学音楽学院、江西中医学院人文院客員教授など。中国で音楽療法を広め、声楽、ピアノ即興伴奏および合唱指揮などの分野で業績をもつ。著書『児童音楽治療理論と応用方法』(北京大学出版社出版)。中国国内で初めての大学での特殊教育音楽治療課程を創立した。

facilitator(文中----) 野原佳代子

音楽療法とは?

DSC_2039.JPGDVDのナレーション:照明を暗くして下さい。よく座って下さい。姿勢をちゃんとして下さい。姿勢をちゃんとして下さい。リラックスして下さい。リラックスして下さい。目をつぶって下さい。深呼吸して下さい。そして、息を吸って下さい。そうしますと、その疲労、疲れとかそういうものが飛んでいくと思います。そして息を吐き出して下さい。そのときはですね、疲れとか、そして不愉快なそういう悩みと言うんでしょうか、そういうものも一緒に吐き出せると思います。
DVDのナレーション:そしてちょっと想像して下さい。いまは、草、芝生の上に横になっていると。そして周りは非常に静かであるということですね。非常に静かな中にいる自分を想像して下さい。そして芝生の草は非常にやわらかいと。地面は非常にやわらかいと。そして、草の匂いとか、土の匂いをかいで下さい。そして、空は青々としております。春の日差し。非常にソフトで暖かい、非常に気持ちいいです。(以下、腕、首、顔など全身の脱力を指示)
----どうでしたか? 「みんな疲れているんだな」っていうか、「明らかにこの人は眠っている」っていう人もいたんですけど(笑)。 
:音楽もよかったし、なんか、そっと語りかけるような中国語がきれいで、うっとりしました。
G:寝ました(笑)
H:音楽にリラックスしたのか、言葉にリラックスしたのか、照明が落とされたこともあって、なんか総合的にそういう環境全体に癒されたなっていう感じがあります。あと、「暖かくなる」っていうことと、「リラックス」っていうのは、自律神経とおそらく関係あるんですよね?
チン:いま、おっしゃったことは、正しいかと思います。やはり総合的な効果というのがあったと思います。それによって手が熱くなったり、そしてリラックスしたりとか、そういうことになったと思います。でも、音楽というのがなかったら、たとえばそのナレーションだけですと、手は熱くならないと思います。音楽というのが非常に肝心であると思います。
DVDの3分の1しか皆さんにお聴きかせしませんでしたが、このあとはですね、想像の部分っていうのがあります。想像力を発揮して、それで非常に美しく、かつリラックスできるような環境というのが想像できると思います。
:たとえば、さっきまでの音楽は、人間がつくったというか人工的な音でしたけど、鳥の声とか、自然の音も有効ですよね?
チン:自然の音は、非常に効果があると思います。でもそれはやはり、一定の、ある程度のリズムをともなって入れてくるということ。たとえば鳥の鳴き声とか、海の波の音とか、ただそういうものを入れるだけでは不十分です。ちゃんとそのリズムを考えて入れていかなければなりません。
----おそらく、いろいろな実証に裏打ちされた要素を集めてつくり上げた形なんだろうと思います。非常に有機的な形で折り合って一つの作品になっている科学とも言えます。

自閉症の子供の場合
チン:では次に、またDVDを見ていただきたいと思います。
DSC_2075.JPG子供たちに対する音楽療法のケースをご覧に入れています。自閉症のトーマスという子供です。誰とも口をきこうとしません。話しはできるんです。ただ、あまり人と話すことをしなかったために、言葉そのものが訓練されなくなってしまいました。さまざまな啓発によって、最終的に、心の底から笑ったり、感情の交流ができるようになっていくさまを写しています。
このお子さんのお母さんが治療室に入ってきました。まず、初歩段階の治療ですね。お母さんが出てきました。で、彼の身体の両側が揺れてしまうのは、これはこの子の病気からくるものです。実際に音楽治療師は、この子のリズムに合わせる形で、音楽とマッチさせながら治療していきます。
第2段階。これは鉄琴のようなものに彼が触れます。ただやはりお母さんと一緒じゃないといられないんです。言葉は出していません。で、治療師は、意識的にゆっくりとしたリズムの音楽、そして我慢強く、ストレスを感じさせないような音楽を出しています。
そして第3段階。治療師が子供を抱えて、子供はドラムの上に乗るんです。とっても面白そうです。治療師とおんなじようなリズムで体を動かす。嬉しくって笑ってます。これはとてもすごいこと。 
この治療の中では、言葉はありません。そして彼は、歌を歌おうとしてます。スパニッシュ風の音楽ですかね、本当に嬉しそうです。こういうのは本当に得難いことです。
音楽というのは、障がいがあるようなお子さんたちにも、これだけの楽しみをもたらすことができるということです。まさに音楽治療師の側からしても自己実現のプロセスなんですね。

ピアノのリズムと治癒
私は次に中国でよく知られた素敵な曲を弾きたいと思います。ただ、その題名は教えません。内容も教えません。聴いて下さい。そして、自分たちの感想をそれぞれ言って下さい。「あまり好きじゃない」とか、あるいは「これはとても美しい調べだった」とか「馴染みがない」とか、なんでもいいからあとで感想を言って下さい。
:日常的な感じではなく、なんか非日常的な、ファンタジーな感じを受けました。
:僕は、反対で、湖とか、空とか、なんかちょっと自然っぽいような。
:とてもしっとりしていた曲で、僕はすごく聴いていて好きだったんですけど。今日みたいな、少し明るくないようなイメージで、ちょうどいまの外の天気のような、そういう中で落ち着いて聴けるような曲だと思いました。
:全体的にマイナーなメロディだったんですけど、ところどころ、メジャーって言うと誤解があるんですけど、明るい曲調が途中に入っていて、ふるさとを離れるときの、なんかBGMっぽい印象を受けました。だから、明るいところで昔を思い出してるんだけれども、これからその故郷を離れなきゃいけないというので悲しいイメージが入っているのかなという、感じを受けました。
チン:マイナー、メジャーとか、それから非常に力のある部分と、非常にやわらかいというところがあることをおっしゃいました。この曲の名前なんですが、「小川の流れ」っていう曲名です。雲南省の景色を描いた一つの曲です。男女の恋歌です。私は非常に好きなんですね。それは別に恋歌だからではなく、そのリズムが私は非常に好きなんです。
非常に美しいメロディで、非常にソフトな感じを受けることができると思います。でもその中に、ワーっていうものも感じられますよね。ほかの人と対話をしているような感じです。
L:話の中に出てきた、リズム訓練っていうのは、さっきのDVDに出てきたような、一緒に演奏する感じなんですか?
----一緒に体験するだけで効果があるものなのか、あるいは一緒に何かを解決するような形をとるのか、っていうのでしょうか。
チン:実は、対象によって違うんですね。このお子さんにはこういうリズム訓練が合っても、ほかのお子さんには合わない、人によって違うんですね。これは治療師が設計するんです。音楽に対する感度と言うんですか、感性をもとに判断していくんです。
特にお子さんに関しては、参加型のほうが適してると思います。子供は言葉をあまりそ好まないので、話すことだけでは駄目ですね。

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