Creative Café 光カフェ --落ち着くアカリのココロとカガク-- 3/3pict
2011.06.18
●明るいことはいいことなのか?
山崎:最後に、来場者の皆さんでグループごとに対話をしていただいて、新しい何かを発見していただきたいと思っています。テーマは、「光の種類や明るさ以外で、光を感じるための大切な要素は?」です。
F:一番抽象的なところから申し上げますと、その場で何をするか。その場で何をするかによって、その光の印象というのは変わるだろうと。例えば集中したいときにも、単純に作業したいときっていうのも明るさが必要だと思うし。あとは気温であったりとか。
山崎:気温によって光の印象は変わってくるという。
G:そうですね。例えば暑いときに日光の光とかを浴びても、暑さをより感じると。あとは材質であったりとか、その場の空間、それから誰と一緒にいるかとか。他には時系列ですね。朝に見る光か、昼に見る光か、夜に見る光か。
H:トイレの中に、ラメとか写真がばーっと散りばめられているトイレがあるみたいで、キラキラキラって動く度に周りも反応する。そういう動きと反射っていうのも1つの要素ではないかと思います。
山崎:トイレというのは本来狭くて圧迫感のある場所ですけど、ラメとか写真とかをいろいろ散りばめてあることで、また違う印象になっていくと。
I:そうですね。世界観がそこで変わっていくみたいな。
山崎:トイレの世界観(笑)。
J:1つ目としては色ですね。例えば青色の光がケーキなどに写ったときに、これはもうまずそうですよね。色は特に大事だというのは1つありました。あと光の分布の仕方ですね。一様に光が分布していると、落ち着かないという意見がありまして。逆に分布があるからこそ、落ち着きを得られるような光環境にあるという意見もありました。
K:特に一番重要だと考えているのはフィーリング。その光や、その空間を見て、どういうふうに感じるのかということでした。そのフィーリングっていうのが一番どこに、何に依存しているのかといいますと、色ではないかと思います。例えば、蛍光灯や白熱電球のような人工的な光ではなくて、もっと自然光を考えてもらうとわかりやすいと思うのですが。朝であればさわやかな光、昼であれば白を中心としたような光で、人間のリズムと光の色が大きく関わってきているのではないかと。
L:太陽光になると人間が落ち着くということは、ぼくたちはみんな感じている当然のことだと思います。だけど人間はもっと昔は夜行性だったと。むしろ夕方の光になったら目が冴える。夕日の光で落ち着くって、今では当然のことと思っているけど、それって結構思い込まされている部分があるのかもしれません。
山崎:なるほど、思い込まされている。
M:震災後に、電気を1つ1つ落としていきましょうというすすめがあって、社会的にも暗くしている場所に合わせて電気を消してみましょうという雰囲気がある。つまり光と影のバランスも考えていきましょうと。あともう一つ、歴史的な検証っていうのも必要なのじゃないかと。なんで光が好まれているのか、どういう光が好まれているのかとか、そういう歴史的な検証も入って、なおかつ漆黒、暗いものから光を見出す。そこから死生観なども考えていけるのではないかという話になりました。
山崎:今、触れられたことなんですが、明るいことはいいことだと。それまではひたすら明るくすることにばっかり注目していたんじゃないかっていう意見が挙がりました。街の看板を見ても、向こうの看板は明るい、じゃあ、うちの方ももっと明るくしよう、そしたらこっちはさらに明るくしようとして、街の中の光がどんどんどんどん明るくなって、明るさの飽和が起きていたと思います。当然昔は日本だってあんまり電気がなく、街灯も少なかったのに、ある時期から徐々に明るくなって、もしかすると高度経済成長期の国策かもしりません。日本全体で明るくしていこうというのがあったのかもしれません。そのへんについて、もう少し時間があったら話してみたいんですけどね。
今回、こちらの光カフェというのは、震災があって、この計画停電などによって電気が消えているからこのカフェをやろうとしたわけではなく、震災がある前から開催しようという話になっていました。ただ、この震災で、さらに多くの人たちが光の変化ということに注目している今だからこそ、この光カフェを開くことに、より意味があるんじゃないかという結論に至り、本日この会を開くことになりました。なかなか、身近な人たちと光について話す機会がないとは思うんですが、今回のカフェを機に、自宅に帰ったあと、家族でちょっと、家の中の照明について話してみたりしていただけたらと思います。
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