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Creative Café 光カフェ --落ち着くアカリのココロとカガク-- 2/3pict

2011.06.18

クリエイティブカフェ「光カフェ -落ち着くアカリのココロとカガク-」はCreative Café「光シリーズ」として、学生主体で企画、運営を行ったカフェイベントです。テーマは「光」。私達のまわりに当たり前のようにあるこの光との関係性が変わりつつある今、これからの大切な光との向き合い方を参加者と一緒に語らいました。

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※金子さん掲示のパネルの写真
金子:化学専攻の金子です。こちらの図、実は皆さんの今の感情を表現した図になっています。さっき自分は「気になる」「気にならない」で直感的に貼ったけど、この「気になる」「気にならない」というのは、光をどんどん増やしていけば気になっていくし、反対に光が弱くなっていけば、その光の存在感は気にならなくなっていくと思います。

●光と同時に闇を意識する
金子:なかなか言葉では言い表せない気持ちというものを、写真で表現しようとされている方がご来場されています。
:写真で作品を作っています、畑直幸といいます。いつも何かを「可視化」するっていうことは意識しているかもしれません。写真というのは目に見えているものを写しているわけですが、自分の中の問題とか、世の中に起きている出来事とかを「見える」ようにすることを意識しているかもしれないですね。
濱田:写真はもう、光が全てなんですけど。ただ、光を語る上で、光だけを認識して語るというのは結構危険な行為です。つまり光を語るのであれば、闇を語らなければいけない。闇を意識することで、光の角度が決められたりするんですね、逆に言うと。
山崎:光があって、影も大事。光と影っていうのが重要なバランスをとっているんだなという感じがします。
濱田:以前ちょっと実験をしてみたんですね。モンスターの絵を描いて、それをカットアウトして、2メートルぐらいのサイズに投写しました。元のネタは段ボールなんですけど、それを見た子どもたちはものすごく怖がるんですよ。なぜかというと影の元の姿を勝手にモンスターだと想像してしまっているからだと思います。我々は、目で見ているものを信用してしまうんですよね。昔から日本人ってすごい光に敏感だと思うんですよ。だから、光の感じ方が過剰になっちゃうっていうか。

●明るさをいろいろな表現で示す
金子:なかなか深い話になってきたと思います。では、ここでぼくたち東工大の人たちが大好きな科学、特にナチュラル・サイエンスの話に移ります。光というとらえどころがないものを科学者たちはどう考えてきたかということを、少しだけ説明させてください。
例えば、単純に光に対する感じ方として強さがありましたね。強ければ「まぶしい」、弱ければ「うん?」という感じ方があると思います。例えば、照度=「ルクス」という単位があります。この単位は、ある光、光源がどこかに投影されたときに、そこに入ってくる光の量を表しています。でも、それだけではないということは、皆さんも薄々感じていると思います。そこでもう一つ、新たな輝度=「cd(カンデラ)/m2 (平方メートル)」というものが登場してきました。
それは輝度というものですが、やはり光源がぱっとついたときに、それが例えばこの室内のように区切られているときには、蛍光灯というものは壁や机から反射してくると思います。そこで皆さんの目に、どこから光が届いてきたかっていうことを測っていたのが、この輝度という単位になって...
山崎:先生、もう少し易しく説明して頂いてもよろしいでしょうか(笑)?例えば照度っていうのは、ある方向から人の目に入射する光、入って来る光。で、輝度っていうのは、ある面に光が入って、それが反射する光。直接も入って来るし、反射したのも入ってくるのが輝度になると。
金子:そうです。例えば、こんな所に行ってみましょう。片方が雪原、片方が砂漠のような場所へ旅してみたとしますと、同じようなところから光を当てると、例えば、先ほどの照度っていうことでしたら、同じなんです。ここの面積、ここに当たっている光の量という意味では、どこにいても、どこの場所でも、光の量は同じですよね。でも、雪原のほうに皆さんが行かれたときには、周りの雪がたくさんの光を反射させて、すごくまぶしいという感覚が生まれると思います。逆に砂漠のほうですと、光を反射する物が少ないので、雪原にいたときよりはまぶしいと感じることは少ないと思います。つまり、輝度=カンデラという単位のほうが、皆さんのまぶしさや感じ方をより反映したような単位となっていることが知られています。
山崎:明るさをただ単に表すだけであっても、いろいろな表現の仕方、単位があるということを覚えておいていただきたいと思いました。

じゃあもう1つ、こちらにある黒地にグレー、白地にグレー、この絵をちょっとご覧いただけますか。
hikari_007.jpg山崎:こちらの絵をぱっと見ていただいたとすると、左と右で、どちらが明るいと思われますか。
D:右のほうが明るいと思います。
金子:右のほうが明るいと思われた方、挙手をお願いします。
金子:真ん中の灰色の四角に注目してください(笑)。真ん中の灰色の四角に注目していただいたときに、黒がバックのときと、白がバックのときでどちらが明るいかということです。黒がバックのほうが明るいと感じられた方、挙手お願いします。ありがとうございます。
逆に白がバックのときが明るいなと感じられた方。はい、ありがとうございます。
期待を裏切らない結果でありがとうございます(笑)。実はまぶしさの感じを表した輝度という点では、両方の四角は同じ値を示しています。でも、皆さんのぱっと見た感じや印象というものは、違った印象を表しているということは納得していただけるのではないでしょうか。これに対して、科学の最近の試みでは、その明るさの、前と真ん中の輝度の度合いっていうのを数字で表して、その差を表現しようという試みが今までなされてきています。以上、科学のチャレンジでした(笑)。
山崎:金子くんはさらっと言ったんですが、データ上では同じ明るさなんです。これは周りの光の明るさによって、人間の目には色が違って見えるということを、科学的に分析しようというチャレンジです。

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