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Creative Café Vol.01 クリエイティブな見方のアティチュード - カフェ・イントロダクション 2/2pict

2009.12.18

Tags : アート クリエイティブ 芸術

東工大クリエイティブ・カフェ ファシリテーター
出版社フィルムアート社編集長 津田広志

かろうじて表現するスリリングさ
津田:これはどうでしょう?

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「Dance] Henri Matisse (French, 1869-1954)

津田:これも有名な絵なんですけど。
G:変です。
D:なぜ裸で踊ってるのか(笑)
S:変な感じ。踊りの形がちょっと普通の人にはありえない。
N:手前の人、手がつながらないでずり落ちています(笑)。
V:左から2番目の人の足がガリ股でおかしい。
E:原始人みたいな感じがします。髪型がとくに。
A:背景が海なのか山なのかよくわかんないし、手前の女性の手ですが、右腕が変に太くなってる。
Y:小学生レベルの感じがしました(笑)。
津田:一応、ニューヨークの近代美術館に飾られてるんですけどね(笑)。
もし少し見るとどうですかね。
H:少なくとも現代的ではない。なんかの儀式みたいに見える。
b:日本人だと当たり前になるんですけど、肌が肌色で、髪が黒いっというのは、実はあんまり一般的じゃないのかなと。そこにあえて統一性を求めるような気がします。
R:私は一人一人はバランスが崩れてるけど、みんな合わせると、なんとか形になっていると思います。なんとか。
津田:「なんとか」この言葉いいですね。「かろうじて」といってもいい。服も着てません、形も悪いかもしれません。だけど、「かろうじてダンス」になっているかもしれない。
これが安定して、みんながちゃんと手をつないで、きれいにやっていたとしてもそんなに面白くないです。離れたり、くっついたりしてます。微妙な感じですね。
クリエイティブな見方というのは、「スマート」だとか「クール」「かわいい」もいいと思いますが、たとえ形がおかしくても、たとえ色が単調であっても、その中に全体として何かすごくスリリングなものだとか、何か新しい価値観を変えてるものだとか、何か「変わった」ものがあるのではないでしょうか。


見ることのアティチュード

photo_04.jpg
「man・heroic・sublime」 Barnett Newman
(American, 1905-1970)

A:これは、絵ですか?(笑)
津田:これは、絵ですね
D:ああ......。
W:わからない。
O:わかりません。
津田:どうでしょう?難しいですね、このへんになってくるとね。
K:何枚かの紙が重なってる、白い空白が、ちょっと紙がずれてる。
F:パソコンの原始的なモデルでしょうか(笑)。
B:携帯の裏側みたいとか。
津田:この絵を見て美しいと思う人、いらっしゃいます?
D:はい。結局四角と線だけで書かれていますけど、それだけなのに、こっちに出っ張っているような立体感覚は、すごいなと。
C:左から1番目の線と、右から2番目の線は同じ色で白、真ん中2本は、白と黒で対比がある。左右対称形かなと思いつつも、右端に1本だけちょっとほかの線より太めな感じの線がある。その微妙なところに美しさがあるかなと思う。
H:展示会に便器を置いた現代作品ありますよね。これも似たような感じじゃないですか?
津田:それはデュシャンの便器の作品ですね。この絵の原題ですが「man・heroic・sublime」、訳すと「人間、英雄的、崇高さ」。日本語では「英雄にして崇高な人」と訳されています。
F:そういう現実味はあんまりないというか。
K:単調な規則模様なんですけど、完全に規則正しいわけじゃなくて、薄い線も、全部同じ色じゃない。単調だけど完全に単調なわけではない。。
津田:微妙な挑戦の中に、今までとは違うニュアンスの読み替えがある、そこに新しい秩序が果敢に生み出されていると思います。そういうところにクリエイティブな見方のツボがあるのかなと思うんです。
皆さんも、科学の中で、これからものすごく難しい作業をされると思います。アーティストも、自分なりの考え方で、微妙で繊細で果敢な作業をします。科学的な成果と、芸術的な成果が、どこか似ているところがあればいいですね。それが新しいカフェのコミュニケーションの始まりかなと思います。

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