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Creative Café Vol.03 「都市」と「映像の都市」はどう違うか 2/2pict

2010.02.26

瀧健太郎
1973年生。武蔵野美術大学大学院映像コース修了。文化庁派遣芸術家研修員('02), ポーラ美術振興財団の研修員('03)として、ドイツ・カールスルーエ造形専科大でメディアアートを学ぶ。フィリップモリスアートアワード('02)、 Ongoing展('02)、 fromScratch('05)、「目黒の新進作家 -七人の作家、7つの表現」('07)、「Nippon Connection」('09、独)「アジア・アートビエンナーレ」('09, 台湾) 他国内外で展覧会多数。NPO法人ビデオアートセンター東京代表、早稲田大学川口芸術学校の客員講師。共著に『いま、ここからの映像術』

facilitator(文中----) 津田広志

アーバン・スクリーンプロジェクト 都市の中の動く映像

:今度は、ドイツのハンブルクで行われた「アーバン・スクリーン」という実験的なイベントです。彼らはビルや建造物の表面に映像を投影する実験を多く行なっているグループです。2009年の5月に行われた実験で、建物にビデオ・プロジェクターでタイルが引っ込んだり出っ張ったりしているような映像を現場で映してるんですね。


{555 KUBIK Art Direction: Daniel Rossa ,3D Operator: David Starmann
Sound Design : Jonas Wiese }
urban screen.com

:都市の中の映像、これは町の中でやりますから「映像と建築の違い」を考えることができます。建築物は普通動いたりしませんよね、物理的なものなので。それをどうやったら動かせるかって考えたときに、映像はその代用ができるというか、そういうことができると。
「そこに物がない、存在しない」っていうことが映像の前提ですが、その映像がこういう物理的な建築物と結びつくと、本当に「あるかもね」という、ちょっと面白い問題になるんですね。
これから都市の中に映像がどんどん入り込んできます。実際にもう入ってきていますが、そこに、さっきの「虚しさ」という問題が出ましたけど、ただ単に都市の中に面白い映像が流れてるだけでは物足りません。もっと「考えるチャンス」のような面白いものが出てくるんじゃないかなと思っています。

:この映像はちょっと気持ち悪い。普段動くはずのないものが動いてるように見えるので。
:必ずしもこの映像はマイナスではなくて、エンターテイメントという立場で考えられる。たとえば、ものを実際に動かすってすごいエネルギーが必要。だからエンターテイメントでイベントを開こうとしたときに、実際に物を動かさずに映像とかを使ってこういうふうにできたら可能性は広がる。日々の暮らしの中にもっといろんなエンターテイメントを提供できそうな気もしなくはないんですね。
----今日3本見せていただきましたけど、瀧さんは、どういう基準でこの3本を選ばれたんですか? 
:都市と映像の問題は、実験段階の未開拓な部分がたくさんありまして、それが今日の3方向なのかなと思っています。
映像を通して建築素材が動く可能性が出てくるところや、石で造った建物に木のテクスチャー(質感)を映像で映せば木に見えなくもないだろうといった問題。一方で今、有機ELや折り曲げることが可能なディスプレイが開発されつつあって、そうすると皆さんの「住まう空間」も変わってくるかもしれないですね。
それはテーブルとか服とかにも簡単にイメージを映し出すことができるかもしれません。ただ何でもあり、でやればいいってものでもありません。そこをどうするかっていうリテラシー(読み書き)の問題が起きます。
今まではスクリーンの中が「映画」で、その中に偽物の/スペクタクル(見世物)が演じられてきました。現代は反対で、我々の現実の世界に映像が入ってくる。「日常が映画化されてしまう」そういう時代に突入しているのではないでしょうか。

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