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Creative Café Vol.01 クリエイティブな見方のアティチュード - カフェ・イントロダクション 1/2pict

2009.12.18

Tags : アート クリエイティブ 芸術

東工大クリエイティブ・カフェ ファシリテーター
出版社フィルムアート社編集長 津田広志

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ダ・ヴィンチとヒトラー
津田:みなさんもよくご存知でしょうが、レオナルド・ダ・ヴィンチという人がいました。彼は、サイエンスとアートの両側面を持った人でした。有名な『モナリザの微笑』をはじめ、いろんな絵画を描きましたし、飛行機の模型をつくったり、人体解剖もしていますね.渦巻き、洪水のスケッチなど、今の先端科学の「カオス論」と呼ばれているような研究もしています。

ダ・ヴィンチ的感性が今、話題になりやすい1つの原因は、小さな対象に限定研究する「専門知」とは違い、異なる領域との関係や全体ヴィジョンを見ようとする姿勢があるからではないでしょうか。もちろんその「専門知」というのは絶対必要で、徹底的に研究していくという態度がないと法則化できませんし、これは今後とも続けてゆかなくてはなりません。だけどもサイエンスとアートがどう関係しているのか、あるいは全体ヴィジョンを問う必要はあるかと思います。

こうした全体ヴィジョンの大切さを知りながら、残念ながら間違って考えた人がいます。ヒトラーです。彼は熱烈な画家志望でした。このヒトラーが政権を取ったとき、映画を始めとする美の追求はもちろんのこと、高速道路、ロケット開発、健康やエコにもたいへん興味を示しました。どこか現代の状況と似たものがあります。彼はサイエンスやアートの融合した世界を考えていました。でも現実には、スピルバーグの映画『シンドラーのリスト』『ミュンヘン』みたいな陰惨な世界を生み出してしまいました。

ダ・ヴィンチとヒトラーが違うのは、ヒトラーには、自分が人間なのに「神の視座」に立って考えてるようなおごりの態度がありました。ゲーム感覚で世界全体を見ているような感じは私は非常に危険だと思うんです。
それよりも、素直に、いろんなものに対して驚いたり、あるいは、たじろいだり、予測不能なもの、解決不能なものへの「ゆらぎの態度」が重要だと思うのです。ダ・ヴィンチにはそういう多角的なゆらぎの目線がしたたかなまでにあったと思いますし、それが彼の作品の深さになっていないでしょうか。


見ることのアティチュード
津田:たぶんサイエンティストも最初はそういう<ゆらぎの感覚>を持っていたと思うんですね。たとえば病人が出て、どうしても治せない、そういう人が亡くなっていく。そのときにやっぱり悲しみが出てきますよね。「これ、なんとかならないのか」「わけのわからないものがあるな」そういうゆらぎの目線があったと思う。その意味で、アーティストもサイエンティストも、やっぱり最初の根っこのところは同じ人間ですから、驚いたり、たじろいだり、そういう<ゆらぎ>感覚こそが私は、クリエイティブな見方の始まりじゃないかと思うのです。


好き、嫌い、無関心
では、こういう絵が、ポンとあるとしますよね。そうしますと、皆さんどう反応されますか?

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「Anna Zborowska」 Amedeo Modigliani
(Italian, 1884-1920)

津田:たぶん、この絵が嫌いな方、それから好きな方、無関心な方、3種類に分けられるかなと思います。
じゃ嫌いな方? 手を上げて下さい。3分の1ぐらいですかね。好きな方?はい。これも同じぐらいですよね。無関心派?。3分の1ずつ、きれいに分かれました。
あなたは嫌いでしたっけ?
P:ええ。彼女の表情。目がにらんでるみたいで。
L:この女性のいる暗い部屋は、なんだか怖いなと思います。

津田:あなたは好きなほうですか?
C:人をちゃんと描いてるのに、姿勢が斜めで引き伸ばした感じになっているじゃないですか。写実的に描いたのに、引き伸ばしてるような感じがすごい面白いなと思うんですけど。
F:服と背景の色が両方とも暗い色で、この女性はゆったりとくつろいでる感じがします。色を似せることで沈み込むようにソファに座ってるような印象が気に入っています。
津田:同じ絵を見ても、感じ方は分かれますね。無関心の人は?
H:背景に何かあるわけでもなく、人が一人いるだけで、「ほかになんかあるのかな?」と思います。
K:恐怖感とかも、安堵感みたいなそういうのも感じとれなくて。「絵だなあ」という程度。(笑)
津田:絶対的にこの見方が正しいということは、まず言えないですね。でも、たとえば皆さん、自分が絵画展へ行って、もし審査員になったとしますよね。それで自分が嫌いな絵があったら、どんどん落としていって、自分の好きな絵だけに賞を与えたら、よくないですよね。なぜかというと、審査員は多くの観客の代表であり、好き嫌いとは別の客観性が求められるからです。
G:私は、具象画みたいなのに抽象画の感じが面白いと思います。
L:原色の量が少ないのにまとまっている。
Q:顔もやっぱり特徴があると思います。卵形、まん丸い。面白い。
津田:微妙におかしいものが入っているんですね。具象画なのに抽象画である。少し「おかしいもの」が入りながら、「形にしてちゃんとまとめてる」。反対に、もし正しい顔というのがあったとして、その顔が描かれていても、それはちっとも面白くないと思うんです。この「おかしいもの」って何か。

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