2013年2月15日(金) Visual Café シリーズ 第3回「負ける映像 ――Diary/Futurism 日記映像の可能性を考える」
2013.02.14
第5回恵比寿映像祭「パブリック⇄ダイアリー」地域連携プログラムとして、東京都写真美術館協力、東京工業大学サイエンス&アートLab Creative Flowとフィルムアート社の共催でイベントを行います。
日記映像を再定義する
「日記のように撮ること」の可能性とは何でしょうか。
日記映像の多くは、撮り手が親密な空間を「自分の庭」のように見立て、思うがままに撮られています。
日記の素朴な目的----日々の記録を通じて思いを表現すること――に照らし合わせれば、一見これは自然なことに思えるかもしれません。
しかし、世界を思い通りに撮ろうとする映像は、クリエイティヴとはいえません。
日記映像の本質は別のところにあるのではないでしょうか。
カメラに映る「世界」は、私たちより圧倒的に大きく、未知で、ゆらぎつづける存在です。
あるいは対象が「自然」である場合、自然を飼いならすことなど本来できず、私たちは、むしろ、自然をどこかで畏怖するのが本来の態度ではないでしょうか。
だからこそ、映像に映し出された世界は、常に撮り手の予測を超えた、言葉を超えるイメージを呼び寄せること=クリエイティビティがあるのです。
負ける映像
世界>私
自然>私
この当たり前の事実をしっかりうけとめ、万能ではない私たちが、世界や自然の力に、いい意味で「負けながら」映像をとる方法を考えます。
第5回恵比寿映像祭「パブリック⇄ダイアリー」出品作品である映像作家クリスチャン・ヤンコフスキー《ドバイの瞳》とともに、東京工業大学サイエンス&アートLab Creative Flowの学生チームがこのプログラムに向けて制作した日記映像を上映します。
《ドバイの瞳》(2012年)は、ヤンコフスキーとそのクルーが初めてドバイを訪れ、取材・撮影・編集、全ての行程で全員が「目隠しをして制作したドキュメンタリー」です。
映像作家であるヤンコフスキーは、白人中心主義的なアイデンティと見方を捨て去り、「負け」を覚悟してドバイの降り立ち、撮影しました。
それにより、彼自身の予測をはるかに超えた豊かなイメージを撮ることに成功しています。
東京工業大学Creative Flowは、サイエンスとアートの関係を手がかりに未来の知やコミュニケーションを考える、新しい形のラボです。
彼らが自分たちの専門性----工学的合理性という武器をあえて封印し、世界の不確実さに「負ける」時、どのような作品が生まれるのでしょうか。
2つの作品を「負ける映像」をキーワードに読み解き、未来の高度テクノロジー社会におくる日記映像のあり方をカフェ形式で語り合います。
負けっぷりのよさが、今回の見物であり、教えです。
●日時:
2013年2月15日(金) 19:30〜21:00
●会場:
恵比寿 amu
●定員:
30名
●協力:
東京都写真美術館 第5回恵比寿映像祭
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